My Favorite Things 国立市議会議員 板谷のり子
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2004 年 5 月 7 日    
My Favorite Things
〜私をつくるもの〜
 フランツ・カフカの「変身」をご存知の方は多いかもしれません。「ある朝目覚めると、グレゴール・ザムザは、ベッドの上で巨大な毒虫に変身していることに気づいた・・・」というような書き出しだったかと記憶しています。悪夢にうなされて、自分の叫び声に驚いて目が覚める経験をした人もいるでしょう。虫に変身はしなくとも、このところ私はうなされることが多く、夫に何度か、揺り起こされました。イラクのこと、未来のこと、考えたらキリがないけれど、やはり考えてしまいます。
私は、サリンジャー、ボーヴォワール、サルトル、と学生時代、哲学に夢中になっていた少女でした。グレゴール・ザムザのように、自分を見つめるもうひとりの自己の存在に気づくことは、重要なことです。私は、人は遅かれ早かれ、対人関係の中でそうしたことに気づいて、社会性を身につけていくものだと考えていました。いちいち、「哲学」だなどとこむずかしい理屈などつけなくても、自己を客観視することで、アイデンティティーが確立され、他を認めることができるようにもなると。
しかし、いま人と付き合うことが怖いという若者が増えているそうです。人と話をすることで、あるがままの自分を受け入れてもらえるかどうかに、不安を抱くのでしょうか。そこには、「自分を認めてもらう」ということにしか、考えが至っていません。「他人を認める」という視点が欠けているのです。私だって、人と話をすることは、常に緊張感があります。誤解されたら恐いなぁ、と思いながら、会話をしている自分に気づくことがあります。(My Favorite Thingsというタイトルで書き始めて、いきなりカフカじゃ、誤解されてもしょうがないか!)それでも、諦めず話をすることで、人は互いにわかりあえるものがあることを発見します。いま、地球上で起きているさまざまな争いごとは、対話による解決が可能なものばかりです。それなのに、人はなぜ、武力に頼ろうとするのでしょうか。
私は、Mr.Childrenの「タガタメ(誰が為)」を聞いたときに、「ああ、反戦の歌だなぁ」と感じました。「加害者にも被害者にもならないために何ができるか」というのは、別に少年犯罪のことを歌っているのではない、と思いました。プロデューサー・小林武史氏は、「こういう曲を発表することのリスクは考えた」と語っていましたが、今、トップランナーであるミスチルが、全世界へ向けて平和のメッセージを送ることのできる唯一の日本のアーティストだと私は、期待しているのです。若い人たちが、哲学書を読まなくたっていい、桜井クンの詩から哲学を、そして平和を願う心を、感じてくれたらいいと思うのです。



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